みなさんこんにちは!
大山純奈です

私は先日、姫路文学館の企画展
「収蔵品 金井寅之助文庫展 江戸文学コレクション」
を取材してきました!
姫路文学館の貴重な蔵書コレクションの一つ「金井寅之助文庫」
国文学者・金井寅之助氏の旧蔵書およそ
3万3千点
が
ご長男の利孝氏より姫路市に寄贈され、現蔵となりました。
この膨大な資料の中には、金井氏が研究の過程で収集した書籍のほとんどが含まれています。
本展では、これらの中から金井氏が専門とした「近世文学」に焦点を当て、
「江戸文学コレクション」と題して江戸時代における代表的な作品を展示します。
それでは、企画展の様子をみなさんにご紹介しましょう

1章 金井寅之助―研究者の足跡
入り口を入ってすぐ目に入るのは金井寅之助氏のお写真。
そして数冊の本です。

その中には数冊のノートが見えます。
金井氏は研究の際、本ごとにそれぞれ対応する考察ノートを作り、考えをまとめるというこだわりがあったそうです。
金井氏は、研究の際に書誌情報の正確さを追求するだけではなく、独創性あふれる試みを行いました。
その研究態度は地道でいて精緻。同時に発想力と独創性にあふれていて他の研究者から高く評価され、多くの刺激をもたらしました。
これが金井寅之助という研究者です


2章 金井寅之助と井原西鶴研究
金井氏の専門は「近世文学」。特に井原西鶴を研究対象としました。
西鶴は、まず俳諧師として世に知られました。

俳諧師としての西鶴にはこんな話があります。
貞享元年(1684年)に、住吉大社で矢数俳諧が興業された。
そこでは、一昼夜に一人で句をよむという矢数俳句において2万3千5百句をよむという超人的記録を樹立したそうな。
この途切れることのない集中力と発想力、思うままあふれ出る軽口の勢いは聴衆を大いに楽しませたことでしょう

天和2年(1682年)
西鶴は「好色一代男」で鮮烈なデビューを果たしました。
読まれたことのあるかたや、聞いたことがある方も多いのでは?
私は、漫画で読んだことがあります。
井原西鶴が執筆した作品だと知ったときは、その内容と事実に衝撃を受けましたね。気になった方はぜひ、「好色一代男」ご自身で読んでみてください。
現在ではいろんな形で出版されていますよ。
文学館の図書館でも、現代語訳された本を読むことができます

さてデビュー後、
西鶴はおよそ10年という短い間に30部もの作品を執筆することになります。

金井氏は、西鶴はいわば「当時の流行とか、風俗とか、時事問題に対する」「異常な興味」を持った「ヂャ―ナリスト」であり、その作品は「ルポルタージュ」であると評価しています。
これまでは、文学を書くにしても読むにしても上流階級が主流の時代。
主人公や登場人物も貴族や由緒ある家であることが普通であったそうです。
しかし、西鶴は町人の出でありながら、主人公を町人や商人とし、作品を執筆しました。
これ以降、西鶴を先駆けとし近世では町人や商人の間でも文学が広まっていくこととなります。
3章 和本で見る文学史
ここでは、先ほどご紹介したような近世文学の移り変わりを和本で追っていくことができます。

近世前期は文学の中心は関西でした。(西鶴は関西)
近世後期になるとその中心が関東へと移り、江戸で盛り上がりを見せます。
近世後期の作品として「南総里見八犬伝」があげられます。
こちらも知っている方は多いのではないでしょうか。
特徴としては、架空の人物が活躍するフィクション作品で繰り広げる物語であり、「勧善懲悪譚」であること。
物語の中でいい人と悪い人がはっきりしていて、最後は悪が滅びるというものですね。
文化11年からおよそ29年間にわたって刊行された長期伝奇小説。
ルポルタージュ的要素を失い、空想的・浪漫的な色彩を濃くしていく文学模様がよくわかります。
4章 江戸時代の「播磨」ー故郷への関心
「西播怪談実記」これは佐用郡佐用町に住んでいた春名忠成が、日ごろ見聞きした奇怪な話を編纂・収録したものです。
巻頭にはよく知られていた姫路の皿屋敷伝説を載せています。
ここに展示されている西播怪談実記。
初めだけは4巻のものを5冊本として出版していました。それも、4冊目を中途半端に終わらせることで5冊目を買わせようとした策なのだとか

本展では、4巻4冊本がそろっており、4巻5冊本の冒頭と重なる部分を読みとることができます。
とても貴重ですので、ぜひ見てみてください


他にも
道中記・旅行記としての「播磨めぐり記」や

大名家および幕府役人を掲載した武家名鑑「武鑑」など貴重な和本の数々が展示されています。
「武鑑」にはなんと遠山の金さんの名前が・・・!?

文学はその様式と姿、名前を変え、現代まで受け継がれています。
本を読むことで、その当時の人が考えていたことや、様子などを
知ることができるんです。
それって、時をこえて著者と話をしているみたいじゃないですか?


当時の人々が愛した文学。
今回の企画展でじっくりと堪能してみてください

姫路文学館 企画展
「収蔵品 金井寅之助文庫展 江戸文学コレクション」
展示期間:4月8日(日)まで
開館時間:午前10時~午後5時まで(入館は午後4時30分まで)
休館日:月曜日、2月13日(火)、3月22日(木)
【2月12日(月)は開館します】
観覧料:一般300円、大学・高校生200円、中学・小学生100円